窓の外は白く、羽音はもう長い間休むことなく続いている。それほどまでに鳩が飛び立つ光景は壮観であり、また不吉でもあった。私は窓を少し開け、鳩の群れに向かって尋ねた。
「誰かお亡くなりにでもなりましたか」 群れから一羽、軌道を外れてベランダの手摺りに掴まった奴がいた。赤い目をしていた。 「まったく、どうしようもないよ」 赤目はそれだけ言って後ろの様子を窺い、頃合いを見計らってまた群れへと戻っていった。まったく、どうしようもない。窓を閉め、振り返った先に散乱するペットボトルの底で変色した液体を眺めていると、そんな言葉を投げつけた赤目の気持ちも、分からなくはなかった。
by asi384
| 2004-12-22 17:12
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